語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

学生運動などで若者が声をあげなくなったのは、若者が賢くなりすぎたからかもしれない

 平均年収の減少(20年前に比べ約50万円減少)、不安定な雇用の増加(非正規雇用は全体の雇用の約3分の1に)、実質的な崩壊が目に見えている年金制度、若者を取り巻く状況は年々悪化しているところがある。

 若者の間では、「結婚して子を持つことは贅沢になった」「今の時代は恵まれた人しか結婚できないし、子供も産み育てられない」との今の50代以上の人には信じがたい風潮が根付いてきている。

 もはや社会が持続可能かも怪しくなった時代に、お年寄りはこう言う「何故、社会運動・学生運動をして社会に訴えかけないのか」「若者は自分の置かれている状況を把握していない。政治に無関心なのをどうにかしろ」と。

 

 しかし、本当に若者は政治に無関心で、スマホSNSばかりに気を取られているのだろうか?

 勿論、そういう若者も少なくないのは確かである。しかし、当然そんな若者ばかりではない。昔の若者よりはるかに情報強者となった今の若者がそんなに馬鹿なわけがない。

 失われた20年以上のせいで、就職及び労働において現在の若者は20年前や30年前の若者の比べて大きな苦難を味わいやすくなっている。当然、社会への不満、政治への不満はかつての若者より増えていると考えるのが自然であろう。

 

 

 では、何故、目立った運動が少ないのか。何故、若者を声を上げないのか。

 一つの大きな理由は、賢くなりすぎたからだと私は考える。

 

 現代社会は、ネットの普及により20年前や30年前と比べてはるかに多くの情報を手に入れることができます。

 さらに、今の若い人たちは生まれたときから不況を味わっており、バブル崩壊直後の就職氷河期で苦しんだ人たちを見ている分、一生懸命勉強しないと大変なことになるとわかっていて、根が真面目な人が昔より多いです。※

 若い人たちが熱心に勉強、情報収集をした結果、以下のことに気づいて、以下のように考えた人たちが増えているのだと思われます。

 

・かつての学生運動は結局ほとんど何も変えられず破壊活動をしただけだった。運動をしても、結局何も変えられない。どうせ変えられないなら、自分に利益となる行動をとったほうがマシである。

・現代では、数で圧倒する高齢者に政治の決定権がある。若者が苦境に立たされていても、お年寄りを優遇する政策ばかりが採られることをどうすることもできない。訴えかけようにも術がない。

学生運動をしていることがばれれば就職も上手くいかなくなるおそれがある。試用期間中に活動していたことがばれて、本採用拒否されたケースがあったしな。

・社会に利益を与える運動をしている暇があれば、自分に利益を与える活動をして、自分だけでもより良い企業に就職することを考える方が得策である。

・社会は動かせないのだから、社会を動かすことより、その社会の中で何とか生き延びることを考えるのが正解だ。

 

 要するに、活動をしたところで何も変えられない、社会を動かすという大そうなことはまずできないからひとまず自分だけでも良い暮らしができるように行動する。そういう行動原理が働いている。

 20代の私の目にはそのようにしか映りません。

 

 

 社会運動では政治を変えられない。

 ならば実力行使・クーデターか?そう考えても、なんだかんだで50代以上の層は今の日本の暮らしに満足している人が多いし、その人たちから恩恵を受けている若者層も今よりひどい状況になることを恐れて過激な行動には賛同しない。要するにどの層からも多くの賛同は得られない。

 今の若者に残されたのは、声を上げることができないまま国家と共に緩やかな死を待つか、いっそのことトランプのようにとにかく国を変えてくれるだろう過激な思想を持つ政治家に博打をかけるか。その道しかないのかもしれません。

 

 ホロコーストという人類の深すぎる闇をもつドイツでさえ、ネオナチが台頭していることからすると、過激で社会が悪い方向に行くおそれが高くても、とにかく現状を変えてくれる政治家・政党に支持がいく。そういうおそれが日本でもあるでしょう。しかし、日本の場合は、数の多さで政治の決定権を握るお年寄り層に納得しない人が多いので、緩やかな死を待つしかないのではないかと思います。

 

 

※これは実際に若い人の行動を見ている人ならご存じでしょう。マスコミが一部の問題を起こす若者をとらえて若者全体を馬鹿にするため、一部の馬鹿が目立ちやすくなっただけの話です。実際に接してみると、今50代以上の人よりまともな人が多いものです。

 あと、年配の方というのは、昔の自分たちを美化しがちですし、昔の悪いところを忘れているものなので、過去の若者がどれだけ愚かだったかを忘れているというのもあります。冷静に考えたら、昔に比べてまともで真面目な若者の割合は増えているでしょう。