語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

何故、「東大と京大はまぐれでは入れないのか」京大に落ちた人が解説する

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 みんな大好き学歴ネタですが、今日はこんな記事が少しばかり話題になっていました。

anond.hatelabo.jp

 

 受験界に限った話ではないのですが、東大と京大は特別扱い、別格扱いをされることが多いです。それは昔も現在も同じことでしょう。

 実際、私も京大を目指してめちゃくちゃ勉強してましたが、「東大と京大は別格やわ。これは努力でどうにもできないところが大きいわ。」と感じたものです。

 結局、最終的に京大は無理でした。私のような受験生はごまんといるでしょう。さすがに阪大にすら行けなかったのは予想外だったが。

 

 

 何故東大と京大は別格なのか、

 何故東大と京大はまぐれではなかなか入れないのか、

 何故東大と京大はなかなか努力だけでは合格できないのか。

 

 本気でこの二校を目指した人であれば、最終的には合格できず阪大とかに行かざるをえなかった人でもだいたい理由はお判りでしょう。

 しかし、どうもそれ以外の人には理解されていないように感じるので、理由をしっかり解説していきたいと思います。

 

 

1.目指す層、受験する層が違う

 この二校は100年以上も日本を引っ張ってきたという歴史がありますし、卒業生のメンツは他のどの国内大学に負けてません。それに、かけられている予算の額が違います。

 マスコミも話題にするのは東大京大生ばかりです。この二校に比べると、阪大生や一橋生、東工大生はほとんど話題になりません。

 言うまでもないことではあるのですが、この二校とそれ以外は様々な点で違いがありすぎます。

 それをわかっているからこそ、日本全国の高校生や親御さんはまずはこの二校を目標に、日夜必死に頑張るわけです。

 

 言っちゃ悪いですが、名古屋大は中部地方でそこそこ頑張った人が目指すところですし、東北大は東北地方でそこそこ頑張った人が目指すところです。

 早稲田ですら合格者の7割は関東と言われています。関西人は国立志向が強いので、わざわざ早稲田のために東京まで行きたがらないのです。

 つまり、東大京大以外は有名どころであっても、ローカル大学の要素が大きいのです。

 

 他の大学であれば、他の地域に実力が拮抗している人がいたとしても、その地域からライバルは流れてきません。

 京大に行けなかった関西人は阪大と神戸大に流れますし、九州人は九大に流れますし、道民は北大に流れます。

 十分に実力があったとしても、関西人でわざわざ九州や東北、北海道に行くような人はほとんどいませんから、強いライバルとの競争を避けることができるのです。

  

 しかし、東大と京大はそうもいきません。ライバルは全国各地にいるわけです。

 全国各地から選りすぐりの志願者が集まり、全国トップクラスの頭脳を持つ受験生がこの二校に集まるのです。※1

 

 スポーツの世界でも近畿大会や中部大会で上に行くより、全国大会で上に行くほうが難しいでしょう。

 それと同じことです。ライバルがとてつもなく強いのです。

 純粋に競争のレベルがとんでもなく高いのです。

 

 

2.科目数が違う

 有名な大学でも、二次試験の受験科目は、文系なら英語と国語と数学、理系なら英語と数学と理科二科目といった感じです。科目数はそれほど多くありません。

 

 しかし、東大の文系は、英国数に加えて地歴二科目が二次試験の受験科目に入っています。

 英国数だけでも大変だというのに、さらに二科目ですよ二科目。しかも、「高校生にそんな何百字もの論述させるんかい」という問題が平気で出題されますからね。そら普通の高校生じゃ太刀打ちできないという話ですよ。

 実際、関西の公立高校から東大文系に受かる人はほとんどいませんからね。数少ない合格者はほとんど理科一類か二類です。

 

 京大の文系も、地歴一科目が英国数に加えて出題されます。東大に比べれば論述量がマシですが、残念なことにセンターで選択した科目と同じものは選べないというトラップがあります。

 つまり、東大京大以外の受験生は日本史だけやっていればよいところ、日本史と世界史の二つをやらないといけないみたいな羽目になるわけです!

 昔からめちゃくちゃ勉強しているのは当然として、記憶力がよくないとそんなん無理じゃって話ですよね。

 

 そして、理系ですが、理系の人の多くが苦手としているだろう国語が二次試験でも待ち構えています。勿論、百字を超える論述を要求されたりします。

 かつては、京大でも国語が二次試験にない理系学部がありましたが、そんなボーナスステージはもうありません。

 阪大などでも国語からは逃げられますが、東大と京大を目指す者は国語というラスボスから逃げるすべはないのです。

 

 

3.問題の難易度がぶっ飛んでいる

 こればかりは解いたことある人しかなかなかわからないでしょうが、とにかく問題のレベルが他とは違います。

 ざっくり違いを述べると以下の通りになるでしょう。

(あ、私は理系のことはわからないので、文系に限った話になりますよ。しかも東大のこともわからないので適当になりますよ。)

 

・東大

東大対策 - Wikibooks

 英語はとにかく情報処理能力が求められるため、素早く的確に英語を使いこなせないと話にならないでしょう。速さが足りない方は非常にキツイと思います。速さに定評がある私にとってはそんなに難しくないように感じましたが、今は1ミリたりとも分からん。

 数学は本質をしっかり理解していないと解けない問題が出るので、阪大レベルの数学ができる人でもまるで歯が立たないことがままあります。京大と違って、文系でも数3Cを出さないのが良心的ですね。あっ数Cもうないんだった。ちなみに、私はまるでできませんでした。

 国語は京大と違い問題自体はそれほどはえぐぐないように見えますが、正確に文章を読み取り的確に回答し、確実に点数を重ねるのは難しいでしょう。あと勿論、理系でも古分・漢文がありますよ!

 日本史で論述の訓練とかまずやりませんし、日本史でしっかり考えて問題を解くなんてことはまずないので、とにかくなんじゃこれとしか思えませんでした。

 世界史は600字記述のインパクトが高すぎて、速攻で東大は私の中で選択しから消えました。高校生に600字書かせるんですよ。驚きですよ。でも、受験生はそれを書いちゃうんだからもっと驚きですよ。

 

・京大

京大対策 - Wikibooks

 英語はとにかく難しい文章を和訳、英訳させられます。解く早さはあまり求められないのが幸いですが、高い語彙力があることはもちろん、文法であやふやなところがあると死ねます。受験生はうなりながら、難しすぎてわけわからん和訳英訳に悩まされることになるでしょう。

 国語もこれまたやけに難しい問題をじっくり考えさせられます。国語というものは、答えが文章中に現れているものなのですが、「こんなんどこから導き出せばええねん」と言いたくなるような頭を抱える問題ばかりが出ます。当然、要求される文字数も多いです。

 数学は難関中の難関です。これも早さが求められていないのが幸いなのですが、とにかく難しいの一言。センター9割でも5問中1完(1問しか完成していない。あとはお察し)しかできないなんてざらにあります。私は1完すら怪しかったです。あれだけ数学やったのに。ただ、おかげさまで神戸大学の数学はあまりに簡単すぎて笑いが出ました。

 日本史は200字記述が強敵ですが、まだ東大に比べればマシです。東大の日本史は面白いですが難易度がおかしい。

 世界史は300字記述が強敵ですが、これまた東大に比べれれば遥かにマシです。

 っていうか、なにせ地歴は1科目で済みますからね。特に二次試験で地理をとるような場合はまだ舞える(感覚が狂った)。

 

 

4.後期試験がなくなった(京大のみ)

 阪大を筆頭に他大学では今でも後期試験が実施されていたりします。

 しかし、京大に後期試験はありません。

 ついでに言うと東大もなくなります(代わりに推薦入試ができたから、前と大差ないけどね。)。

 

 現時点では、京大に合格するチャンスは前期試験の1度きりなのです。※2

  他大学ではチャンスが2回あり、私立に関しては学部を選ばなければ2回以上チャンスがあるというのに。

 

  一応、後期試験の代わりに推薦入試を始めるようなので、今後は京大もチャンスが二回に戻るので、そこは幸いですけどね。

 

 

 まあこんな感じで、とにかく問題のレベルが全く違う、競争のレベルが全く違うわけです。偏差値も60を超えてから、65を超えてからは、1上げるのにもとんでもない労力がいりますからね。

 だからこそ簡単には東大、京大には受からないわけです。努力だけで受かるなんていうレベルをとうに越えているのです。

 

 ただ、周りを見ていると、理系であればそこまでとびぬけて優れた素質があるわけでもない人(公立トップ高に息を吸うように合格してそこで上の方にいるものの、有名私立高には受かっていなかった人)でも、しっかり勉強して京大に受かってたりしますね。

 平然と公立トップクラス程度の高校に入れてそこで上の方の成績を収めている人であれば、京大理系は結構チャンスがあるでしょう。

 

 ただ、文系はとにかく他の大学とはぶっ飛んでレベルが違うので、難敵すぎます。

 死ぬほど努力しまくる公立トップクラスの進学校の生徒でも京大文系まではいけなかった人が多いですね。関西では、阪大どまりか、阪大も行けずに神戸大というパターンが多いです。残念ながら私もそのパターンにはまってしまいました。

 他の地域では神戸大が名古屋大とかに代わるのでしょう。

 

 一般人レベルでは明らかに素質があり、死ぬほど努力している人でもそんな感じなので、東大京大の文系に受かりたいのであれば、努力だけではかなりきついと思います。

 平然と東大寺とか西大和などの有名私立高校に入れる頭はないと。その頭がないなら、小学校高学年のときから死ぬほど勉強して高3まで休まないとかじゃないときついかもしれませんね。

 そんなん人間には無理や!それをやったら人の心身は壊れる。

 

 

※1 一応、東大京大にもローカル要素はあります。 

 例えば、関西では能力はあっても京大に行く中二病の人が現在でも一定数いますし、逆に関東の人は京大に行けたとしても一橋や東工大に流れやすいです。

 ですが、他と比べるとずっと小さいものでしょう。

 

※2 私が受験する前であれば、京大にも後期試験がありました。

 しかし、2007年に廃止されて今まで約10年間実施されていないのです。  ちなみに、事実上の敗者復活戦になっているという理由で完全消滅したのですが、個人的には推薦入試でも同じことが問題になるのではないかと思っています。