語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

人間の知的限界と帰納法

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数学的帰納法でやっていることは厳密にいうと演繹です。

 あと、数学の話は出てきません。上のイメージは本文と何の関係もありません(だったら載せるなや)

 

 

 これでもかというぐらい差別発言・問題発言を繰り返しているのに、アメリカでは、トランプ氏が多くの支持を受けています。

 そんなのを見ると、人間の知的能力ってガバガバだなあと再認識せざるをえないですが、一般市民の推論能力は酷いものだなあという話をしたいと思います。

 

 

 私たちは、日常生活を営む上で、様々な推論を行います。

 その推論の中には、一定程度の合理的性を有するものもありますし、合理性を基礎づけるだけの大量のデータがあることもあります。

 

 しかし、私たちの推論の根拠を冷静に考えると、たいていの推論はツッコミどころがあったりして、合理性が怪しいことも多いです。

 例えば、「男はみんなエロイことを考えている。」だとか「日本人は謙虚で真面目な人が多い。」という話はよくされます。

 しかし、「それって偏見じゃないの?そういう傾向はあるかもしれないけど、違う人も普通にいるでしょ。草食系とかそうじゃない。」とか、「ほんまかいな。自分の周り見ているとそうでもないで。それに世の中のおじさんはだいたい偉そうにしてて態度悪いやん」とか突っ込めますし、本当にそうなのかと言われると結構怪しい気がしますね。

 


 上のような例だと膨大な情報量を元に判断しているので、まだ一定程度の合理性ぐらいはあるかもしれませんが、少ない情報量で推論を行う人も多いです。

 例えば、たったの数人でその属性を判断する人は多いでしょう。
・自分の知ってる何人かの大阪出身者はみんなやかましい。大阪人はみんなやかましいものだ。

・自分の知っている東大生何人かは頭でっかちだ。東大生はみんな頭でっかちだ。

 

 こんな感じで、推論をする人って多くないでしょうか?この記事を見ているあなたも安易にこういう推論をしたことが少なくても何度かはあるでしょう。

 私も、周りの早稲田出身者がクズばかりだったせいで、早稲田の人間は人間性に問題のある人ばかりなのかと思ったことが一時期ありました。


 そんなわずかなサンプルから考え付いたものが真実だと思いますかと言う話です。
 せめて10人20人(それでも少ないけど)見てから判断しないと、ちゃんと法則性は見つからないでしょと言いたくなりますね。

 

 

 それに情報量が十分でも、その得た情報が偏っていることもあります。偏った情報ばかりでは、いくら情報量が多くても、合理性のある推論とは言えないでしょう。

 上の具体例に照らして言うと、元々標準からズレている芸能人ばかりをサンプルとして推論をする人も多いですよね。

 しかし、目だってなんぼの芸能人がやかましいのは当然ですし、テレビに出るような東大出身者は自分の知識や理論をひけらかしたい人が多く、知識や理屈ばかり述べるものです。

 そういう元々特殊な人ばかりをカウントして推論したら、なかなか真実には近づかないでしょう。

 

 

 さらに、合理性が怪しくても、人はそれをなかなか自覚できないという問題もあります。

 人は多かれ少なかれ偏見を持つものです。その偏見に合わせて都合よく事実を抽出するものです。物事の一部しか見ないことで、推論を正当化しようとするのです。

 その結果、経験則から歪んだ認識が生じているのに、自分では大量の情報を正しく入手してそれを元に推論を行ったと思い込み、偏見を偏見と自覚できないのです。


 学のない人が偏見まみれなのはみなさんお判りでしょうが、学歴があってある程度は学があるはずの人でも偏見は多いものです。

 おそらく世の中には馬鹿な人が多いというのではなく、そもそも人の知的能力なんてこの程度のものなのでしょう。いや馬鹿な人も多いかもな

 

 

 サンプル数が少ない、

 サンプル入手先が偏ってる、

 意図的に選別を行ってサンプルが抽出されていると考えられる

 その場合には、「それってどれだけの人をどれだけ見たうえで出した結論なんですか?」「あなたが見てないだけで例外もいっぱいいませんか」などと批判意識をもって、推論の合理性を判断しましょう。


 上の3つの場合で、不変の法則を正確に導こうと思っても、まずうまくいかないと思います。その帰納はおそらく合理性が低いでしょう。単なる偏見で終わりになる可能性が高いです。

 それなのに、人は合理性が乏しくておそらく正しくないだろう推論を勝手にして、偏見を形成し強めていくわけですよ。偏見を偏見だと認識することもできずに。

 

 人間が行う帰納はガバガバなことが多いので、ここは大量の情報を色眼鏡をかけずに処理することのできる人工知能の活躍に期待するしかない。