語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

人が週100時間勉強するとどうなるか 実体験を語る

 現在の日本でも、男性労働者の2割は残業時間が40時間を超えると言われていますし、100時間を超える人が5%近くいたりします。

 国民全体を見ると昭和のころよりマシにはなっているでしょうが、それでも一部の人が働きすぎている状況が続いており、問題となっています。

 

 仕事のし過ぎによる過労問題は色んなメディアが取り上げていますが、勉強しすぎによる過労問題はほとんど誰も語ってくれません。どうも、世の中には勉強しまくった人が少ないのか、危険性を理解してくれません。

 そこで、センター試験を高熱と激痛を抱えながら迎え、翌日即手術する羽目になるという伝説を残した私が「勉強しすぎはアカン。ダメ絶対!」という話をしたいと思います。

 

 

○そもそも、どうして週100時間勉強もしてしまったのか

 それは、部活が終わり期末試験が終わり、遂に迎えた高校3年生の夏休みのこと。

 私は、部活動を引退したことで、自分の体を心配することなく肉体的な限界を考慮せずに勉強に専念できる環境を手に入れた。

 そして、学校という場から解放されたことでテンションが最大限に達していた。スーパーハイテンション状態になっていたわけである。

 

 そして、当時の私の志望校は京大の総合人間学科。

 あのアホみたいに難しい数学はもちろん、英語、国語、日本史という強敵も倒さなければならない。

 しかし、貧乏で公立中学、公立高校という道を歩むことを強いられた私には時間の猶予がなかった。B判定やC判定を出すこともあったものの、模試ではD判定かE判定にとどまることの方が多かったのである。

 過去問も真剣に解き始めて、「このままではまずい」との強い危機感をさらに抱いたのである。いや、強い危機感自体は2年生のころからあったが、遂に強迫観念レベルまで達してしまったのである。

 

 こうして、7月から8月にかけておよそ5週間、週の勉強時間は100時間を超えてしまった(その前後は80時間程度)。机に座っていたけどまるで集中していなかった時間は含まずにこれだ。

 月の残業時間が100時間を超えると、過労死のリスクが極めて高くなると言われているが、その過労死激増ラインですらつき260時間とかその程度である。私はそれより200時間ほど多いところまで行ってしまったわけだ。

 なお、当時は「世界で一番努力しているのは自分だ。世界各地の偉人達も私に勝つことはできない」など意味不明の妄言を吐いていた模様。頑張りすぎはダメだということがよくわかりますね。

 

 

○どのような心身の異変が起きたか

・常におなかの調子が悪い

 私は問題のある家庭や学校で暮らしていたにもかかわらず、ストレスでおなかを壊すなんてことはなかったし、プレッシャーでおなかを下すこともなかった。私のおなかの調子を悪くしたのはあの雪印ぐらいだった。

 しかし、汚い話、常に下痢気味の状態が続き、朝はトイレに3回ぐらい行かないと行けない羽目になることも少なくなかった。

 また、このときの後遺症なのか、ノンプレッシャーになったはずの大学時代もしばらくおなかの調子を崩すことになる。

 

・常にアゴが痛い

 寝ているときも起きているときも歯ぎしりが酷いので、当然アゴがおかしくなる。

 ずっと奥歯にものが挟まっているような不快な状態が続いたのであった。

 

・歯ぎしりで歯が欠ける、変形する

 ずっと歯ぎしりをしていて、歯が折れる夢も度々見る状況が続いており、一部の歯がガタガタになった。

 マウスピースは用意していましたが、つけて寝ると呼吸が苦しいので結局つけられなかった。

 

・常にのどが痛い

 思えば、高校3年生のころは365日のうち360日ぐらいのどの調子が悪かった。

 司法試験の勉強をガッツリ勉強していた大学3年生や4年生の頃(後にうつ病発症)ですらそこまで高い頻度ではなく、365日中350日ぐらいだったのにそれよりひどい状態だ。

 今思えば逆流性食道炎だったんでしょうね。ちなみに今では、2日に1日ぐらいしかのどの調子が悪い日はありません。

 

・風邪気味になる

 謎の咳をしたり、謎のくしゃみをしたり、風邪に似た症状が出ていた。

 

・常にのどが渇く

 別に汗もかいていないのに、やたらのどが渇いていて、2Lのボトルでは足りずに、1Lのお茶を友人に恵んでもらうほどだった(貧乏なので自分では買わない。)。

 

・乾燥肌が劇的に悪化する

 元々私は乾燥肌であるが、今までにないぐらい体の脂が消え去ってしまった。

 中学3年生や高校2年生、大学時代も、冷房がついている環境に長時間いることが多かったが、そのときはそこまで乾燥肌が悪化していない。

 

・目が異常に乾燥する

 長い間、ずっと教科書なりテキストなり問題集なりをみているため、当然ドライアイが進行した。

 

・視力が落ちる

 夏を超えてさらに視力が落ちた。今まは授業中しか眼鏡を付けなかったのが、メガネなしでは駅の電光掲示板が読み取れないところまで来ました。

 

・口の中が常に荒れている

 口内炎で苦しい思いをした。

 私はから揚げにレモンをかける人間ですが、痛みのあまりレモンをかけられなかった記憶があります。

 

・無意識のうちに毛を抜き始める

 講義を聞いているときに、手が空いたら眉毛やひげを抜くようになっていた。

 肌が荒れるのはすべきでないとわかっていてもなんか止められませんでした。

 

・めちゃくちゃ疲れているのに眠れなくなる

 私はよく寝る方で、疲れているときに眠れないなんてことは今までほとんどなかったのに、このときは本当に眠れず3時4時になるということがままあった。

 完全に自律神経がおかしくなっていますね。

 

・吐き気を催すレベルの肩こりに襲われる

 前から肩こりは酷かったのですが、このときは苦しさのあまり吐き気を催すレベルで悪化しました。

 家から帰った後に、母や弟に肩を揉ませるという悪行に出ていました。

 

・今振り返ってみればそんなに集中できていない

 やる気満々でしたし、当時も「勉強の質こそ最も大事、根性論はアホの言うこと」と切り捨てていましたが、今思えば集中力は無意識のうちに下がっていたと思います。

 無意識というのがネックなもので、気合いに充ち溢れている分当然集中もしているものとそのときは思う者なのです。 

 

・疲れすぎて試験の点がむしろ悪化した

 私はミスが元々多い方ですが、凡ミスの量が異常に多く、部活をやっていたころの方が成績がよかったということが多く発生しました。

 他の受験生が本気を出してきたというのも要因ではあるでしょうが、あまりの疲労の大きさに細かいところまで注意力が行き届いていなかったのでしょう。

 

 

○教訓

 結局、体の調子があまりにも悪く、疲れが取れず、満足に眠ることすらできない状況が続いたのですが、ちょうど文化祭の準備が始まる頃となり強制的に休みを取らされることになった結果、症状がマシになりました。

 100時間勉強したときの模試の結果が悪かったこと、強制的に休みを取らされることになった結果勉強の質が無意識のうちに下がっていたに気づいたことから、休みはしっかり取るようにして週70時間~80時間程度に勉強を抑えたら、成績がやや好転しました。

 

 ネットの世界では、「死ぬ気でやれ死なないから」とか妄言を吐いている人がいますが、過労死や過労自殺なんてよく聞く話ですし、楽しいことをしているはずのネトゲの世界ですら死亡者が出ています。

 受験生でも心身に異常をきたす人はいますし、受験生だけが都合よく死なないなんてことがあるわけがありません。若い分死亡率が低いだけで、下手したら死ぬでしょう。

 

 実際、私の同級生も受験が終わってすぐのタイミングで突然死しています(受験が原因かは不明ですし、名目上突然死なだけで実際は自殺の可能性が高そうですが)。

 被害者を出さないためにも、都合のよいことを妄信して妄言を吐くのはやめてほしいものです。

 「やりすぎると死ぬ」という当たり前のことを意識して、限界を超えない程度に頑張りましょう(そう思っても気づかないうちに超えているものなんですけどね。)