語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

何故、奈良県が東大京大進学率ナンバーワンなのか解説してみる

 関東に住んでいる人を中心に意外に思われる人も多いかもしれませんが、東大京大への進学率が最も高い都道府県は奈良県です。

 しかも、教育熱が特に熱い東京都含め他を圧倒しています。

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 関西に住んでいる方以外だと、「何故奈良が1位?」、「関西が多いのはわかるけど、大阪京都兵庫より奈良なの?」となるでしょうが、その理由を説明したいと思います。

 

 

1.目標が身近にある

 東大はさすがに立地的に遠いですが、京大はそこまで離れていないため、身近なところに京大があるといえます。

 「東大や京大なんて別の世界の話」となりがちな関東や関西以外の人と比べると、奈良県民にとって京大はすぐ身近にある現実的な存在であり、小さいころから京大を目標にしやすいのです。

 

 そして、京大をひとまず目指していくうちに「やっぱり東大の方がええな」、「思ったより自分は素質あるし東大狙うか」などとなりやすいのです。

 同じ理由で京都大阪兵庫も京大進学率が高いといえます。

 

 

2.ベッドタウンであり比較的裕福な家庭が多い

 奈良県は大阪京都のベッドタウンであり(主に北西部の北の方)、他地域に比べると比較的裕福な家庭の割合は高いです。

 奈良県は裕福な家庭の象徴ともいえるピアノの所有率も全国一ですし、その他の耐久消費財の普及率も高く、貯蓄も全国一となっています。


 裕福であればそれだけ教育に力を入れられますし、文化的資本に恵まれればそれだけ知的好奇心も育みやすいでしょう。

 それに、「自分も大人になってこの水準以上の生活をしたいし、まず最初に良い大学には行かないと」と考えがちです。

 そういうわけで勉強に力を入れる子どもが増え、結果として東大京大まで行く人も増えるのでしょう。

 

 

3.専業主婦が多い

 上のデータでも述べられていますが、奈良県は専業主婦世帯の割合も全国一です。

 子供の面倒をじっくり見て、じっくり家庭教育ができているからこそ、東大京大まで行ける子も増えるのでしょう。

 

 東大や京大に行くために重要な中学受験は、親(特に母親)の影響力が極めて強いと言われていますし、そうでなくても母親による手厚い教育の影響力は大きいでしょう。

 なにせ小さいころからずっと家庭教師と栄養士と家政婦を付けているようなものですからね。

 ネットでは散々叩かれていますが、3兄弟全員を東大理三に合格させたあの母親も奈良県在住です。

 

 

4.伝統的に教育熱が熱い・東大や京大を目指しやすい空気がある

 どうしても学生は周りの雰囲気や風潮に流されやすいものですが、奈良県は塾の数もきわめて多く、都会に負けず教育熱が熱いです。

 東大寺私が高校受験で落ちた西大和といった全国屈指進学校もありますし、それ以外にもレベルの高い進学校が数多くあります。「私立がすごいのに何で公立の奈良高校までこんなに京大合格者が多いねん」と突っ込みたくなるレベルです。

 

 多くの人が真剣に勉強して、その中でも成績の良い人は賞賛されるわけですから、自然と勉強に力を入れやすい環境があると思います。

 それに先輩や塾講師も京大出身者が多いので、先輩に追いつき自分も先輩と同じところに行こうと熱心に勉強する生徒が多いのです。

 

 

5.田舎から脱却したい

 良い部分ばかり語るのはこのブログの趣旨に反するので、ダークな部分も語りますが田舎から脱却したいというのも大きな理由だと思います。

 一応大阪や京都までそこまで時間はかかりませんが、奈良県はやはり田舎なので遊ぶところは少ないですし、おしゃれな店もそこまでありません(イオンの台頭で遥かに良くなりましたけどね。田舎のイオンは最強なのです。)。 

 

 やはり大阪や京都、兵庫と比べると娯楽施設の数が段違いですし、大学は華やかな地域に行きたいという思いが人一倍強いと思います。

 下記事で書いていますが、私のような思いをして何とか大阪や京都兵庫に行かなければと強い思いを持った人は他の地域より圧倒的に多いと思います。


 

6.地元に残ろうにも大学がない

 ついでにいうと奈良県には奈良女子大学ぐらいしかいい感じの国立大学がなく(あとは山中教授もいた先端なんとかと教育大だけ)、男子生徒は否応なしに故郷を離れないといけません。

 

 他の都道府県のように「とりあえず地元の国立大学」という選択肢がないため、「地元以外の国立大学に行かないといけないのだから、どうせなら良いところ行くか」となりやすいです。

 

 

7.格差があるし、闇が深い

 奈良県は校内暴力発生率が全国トップクラスですし、荒れている学校は非常に多いです。※1

 裕福な家庭が多い一方で問題のある家庭も目立つとこがありますし、京都大阪兵庫と同様家庭間での格差が大きい部類の地域と言えるでしょう。特に北西部の北の方以外は裕福な家庭の割合も下がりますし、闇が深くなります。

 

 下記事は全国の中でもおそらく最悪のケースを紹介しているのでこんなところばかりではないのですが(なお私にしては珍しく話は盛っていません)、少なくない公立中学の環境はお察しのとおりです。

 

 そのため、危機感の強い親は「暴力やいじめが横行している公立中学でなく、質の高い教育をする国立私立に何としても我が子を入れないと」となりますし、身近に底辺の世界を知った子は「こんな世界には二度と戻りたくない」と必死に勉強するものです。

 私も中学時代のろくでもない環境には二度と関わりたくありません。もう一度戻れと言われたら死ぬレベルですし、このブログ以外では中学時代のことはなかったものとして過去を完全に隠しています。

 そんな環境なのですから、学生の意識が高くなるのも当然です。危機感をもって必死に勉強する人が多いのも納得でしょう。

 

 

 1~4はたまにいわれることですが、5~7も語りにくい内容なだけで、個人的には結構大きな理由でないかと思っています。

 あとはいくら京大と言えども一般的には東大よりは難易度がマシなので、京大入学者の多さで稼げる分東京より有利というのはあるでしょうね。

 

 それでも東大進学率も東京都に次ぐ2位とかですし、東大に行ける層も京大に行っているので奈良県が大学受験界ではとびぬけているのは変わりないでしょうが。

 

 

※1:校内暴力発生件数 [ 2008年第一位 神奈川県 ]|新・都道府県別統計とランキングで見る県民性 [とどラン]