語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

ハングリー精神論なんて幻想、まやかし、大嘘ではないか

 他国に比べ日本が経済的にかなり豊かだった時代は終わり、少なくない先進国に追いつき追い抜かれ、発展途上国との差も縮まってきている現在では言われることがだいぶ減りましたが、「恵まれた日本人はハングリー精神がないから」云々と言われることがたまにあります。

 

 しかし、ハングリー精神がないから思うような結果が出ないのでしょうか、そもそも相対的に見て環境や条件に恵まれている人がハングリー精神をもたないというのは本当なのでしょうか。

 そこで今日はハングリー精神が云々というのは幻想、まやかし、大嘘にすぎないのではないかという話をしたいと思います。

 

 

0.定義について

 人によって考えている意味合いが若干違いますし、辞書によってもニュアンスが違うのですが、だいたい「恵まれない環境や逆境から抜け出すために目標達成に向けて頑張ろうとする精神」といった意味合いで使われることが多いと思います。

 恵まれない環境云々を抜いて単に目標達成に向けて頑張ることは「やる気」と言われますし、あと目標達成というのは金銭的な意味合いで使われることが多い気がします。

 

 例えば、貧困状態を抜け出すために必死に頑張っているという意味で、「発展途上国の選手はハングリー精神がある。日本の選手はそれがなく、がむしゃらさが足りない」などと言われることが多い気がします。

 

 

1.成功し、大金を手にした人でも頑張り続けている事実

 スポーツの世界では、さほど金銭的に恵まれていない国や地域の出身者でも、類まれな才能と努力により成功する人がいます。

 しかし、一度成功を手にし、母国の英雄となり、大金を得ることができても競技に力を抜くことはあまりありません。むしろ、スターになって大金を手にした後の方が、さらに努力をしより結果を出そうと頑張っているように見えます。

 

 例えば、陸上のボルト選手なんかも最初はお金が欲しいというモチベも強かったかもしれませんが、十分にお金を得てからもしっかり練習を積んで伝説を残しましたし、ボルト選手が成功したのは貧困から抜け出したい、金持ちになりたいという思い以外の要素が圧倒的に強いのではないでしょうか。

 「思うようにものを食べたい」、「とにかくお金が欲しい」というモチベーションこそが絶対的に重要であれば、お金が手に入ったらもはやモチベーションはなくなったり大幅に下がったりするのが自然だと思います。しかし、多くの選手はそうならず、努力を続け、さらに結果を出そうと奮闘します。もはやそれはハングリー精神では説明がつかないでしょう。

 

 

2.モチベーションは金だけじゃない

 1とも関係しますが、目標を達成したい、結果を出したいという思いは何もお金を得たいというモチベだけからくるわけではありません。

 それこそ恵まれない環境や逆境などとは関係なく、ただモテたい、英雄になりたい、多くの人に喜んでもらいたい、カッコいい自分でありたい、自分自身が満足できるようにしたい、あこがれの存在に近づきたいという思いの方が大きいのではないでしょうか。

 

 勿論お金をもらえること自体はとんでもなく嬉しいことですが、ただお金を稼ぐだけでしたら他の道を選ぶことだってできるわけです。それに1で述べた通り一度成功して目標を達成すればもはや金銭欲は満たされます。

 それなのになおもモチベをもってさらに頑張るというのは、お金以外の要素が大きく、純粋に結果への意欲が強いのではないでしょうか。

 

 あとは、逆境とか関係なく、恵まれている環境になってもなおもお金が欲しいという金銭欲がモチベになっているのではないかと思われます。

 貧困などの逆境から抜け出した以上、この意欲はもはやハングリー精神ではなく、金銭欲と呼ぶのが適切ではないでしょうか。私は逆境の多いカネの亡者ですが、ハングリー精神が強いというより金銭への意欲が強いだけだと思います。

 

 

3.あまり金銭的に豊かでない国の人より日本人の方が必死に頑張っている

 スポーツでは特にそうですが、なんだかんだでまだ世界的には経済的に恵まれている人の多い日本人こそが必死に努力しているところがあります。

 

 野球でも怠慢のプレーをする選手はだいたい外国人選手ですし、日本人はやりすぎ・投げすぎと言われるほど必死に練習しているものです。

 日本より経済的に恵まれておらず、お金への欲求が強いとされるドミニカやキューバの方がふざけたプレーをしていて、真面目に練習をしなかったりします。

 

 野球以外でも、代表レベルの選手でないにもかかわらず、高校など学生時代に朝から晩まで練習している部活の人は多いですし、ここまで必死に練習する人の多い国もそんなにないと思います。

 それに甲子園だったり、五輪だったりに出場する選手の練習風景を見ても、「途上国の選手はハングリー精神があってがむしゃらに頑張っている。けど日本の選手はそうでなく頑張っていない」などと言えるのでしょうか。私はとても口が裂けてもそんな暴言は言えませんし、だいたいの人は私と同じだと思います。

 

 

4.結局は恵まれている人が成功していく

 物事のレベルが上がれば上がるほどただ根性があるだけでは良い結果を出しづらくなります。というか、環境や条件に恵まれている人であっても、ハングリー精神以外の強いモチベがあるので、必死に練習・努力してくるわけです。

 とてもじゃないですが、練習環境も整備されておらず、科学的トレーニング・手法を実施する土壌もなく、ライバルの分析をするコーチやトレーナー、講師にも恵まれないような人が良い結果を出すのは困難です。

 

 それに100Mで10秒を切った人のほとんどは黒人選手であり、例外は数人しかいません。そこまでレベルの高い話まで行かずとも、人によってどれだけ短距離のタイムを縮められるか、短距離と長距離どちらが向いているかが違うように、他の分野でも才能や素質、適性は当然あるでしょう。

 陸上ほどは分かりにくいだけで、遺伝子が違うわけですから、当然人によって差異はあるはずです。才能や素質、適性の影響も大きいでしょう。

 

 あと、いくら反骨心があったり才能があっても、ウィンタースポーツをする土壌がなければ、ウィンタースポーツでなかなかの結果を出すのは非常に困難でしょうし、運という要素もやはり無視できません。

 

 世間でいう良い大学に行っているのは裕福で昔から頭が良かった人が多いように、結局は環境や才能などに恵まれている人が上手くいくことがあまりに多いのです。

 ハングリー精神などより、環境や才能や運や他のモチベーションの方が大事ではないかと思わざるを得ません。

 

 

 そういえば、MLBでムネリンが「I'm hungry」と言って、現地の人から「腹減ったとか、川崎は大事なところで聞き間違えをしてしまったな。HAHAHA」みたいなことを言われていましたが、野球に飢えていると言いたかっただけなので、聞き間違えではなく言い間違えなんですよね。

 英語では、hungry for baseballとかいえばよかったのかな?

 

 というかムネリンの場合、日本で結果を出していた時代から頑張ってたわけで、ハングリー精神ではなく、「イチローのようになりたい」という願望こそが主な原動力になっている気しかしない。