語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

7回読み勉強法には批判も多いけれども、馬鹿にはしてられない

 少し前に7回読み勉強法というのが世間で話題になりましたが、「7回読むだけではその段階までまずいけない。著者の頭が良さすぎるだけだろう」、「教科書読むのも大事だけど、とにかく問題演習をするほうが大事」、「そもそも7回も読めねえよ」など批判も結構あるのが実情です(最後のは批判になっているか怪しいですが。)。

 

 私自身、普通の人は教科書も適度に読みつつ問題集をガッツリやるほうがおそらく適しているし、問題をしっかりこなさないとなかなか解けるようにならないので、真に受けてはいけないとよく言っています。


 しかし、「とりあえず一通り目を通してみること」、「とにかく基本的事項を何回も見直し考え直すこと」、「とにかく復習しまくること、難しいことは7回とは言わずにもっと復習すること」についてはまさに大事だと思いますので、そのことについて少し語りたいと思います。

 

 

1.とりあえず一通り目を通すことの大事さ

・体系的理解に役立つ

 「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、まず全体をしっかり見通さないと、「こういう問題がある」、「これはここの分野の問題なんだな」ということがわかりづらいですし、体系的理解が上手くできないおそれが強いです。

 体系的理解ができないと、どことどことが結びついた話なのか理解できませんし、他により良い手段があるのに気づかなかったり、矛盾したことを書いてしまったりするおそれがありますし、しっかりとまずは全体を見通してみるというのは大事でしょう。

 

・わからないところがわかる

 それに、3回ぐらい全体に目を通せば、自分はどこが全く分かっていなくて、どこが多少はわかっているかを認識できますし、どこをどれだけ勉強すればいいのかの勉強の方針が立てやすくなります。

 やみくもに勉強するのはきついことですが、しっかりとした目的意識をもって「今日はよくわかっていないここをしっかり勉強してみよう」、「ここはまるで分っていないので、先生に質問しつつじっくり勉強することにしよう」といったことがやりやすくなるのです。

 

・進路変更を早くできる、間に合わせられる

 あと、一通りやってみて「これはとてもじゃないが自分には理解できない分野だ」、「こんな魔境に入ったらやばい」などと思った人は速やかにその分野を諦めたり、進路を変えたりすることが期待できます。

 例えば、「ダラダラ2年ほど法律の勉強してみたけど、司法試験は到底無理だし、公務員行くわ」と思った人と、「半年ほど法律の勉強をして全分野に目を通してみたけど、やっぱりきつい。憲法民法ぐらいで済む公務員を目指すわ」と思った人とでは、公務員試験を目指し始めるのに1年半もの差があるわけです。

 どういう試験を受けるのか、いつから勉強したかによっては前者の人でも十分間に合うでしょうが、間に合わなくなるおそれは当然高まります。おそらく後者の人の方が試験で上手くいく可能性は高いでしょう。

 

・迅速な進路変更により、より良い結果が望めることもある

 進路変更が早ければ早いほど、より必要なことに多くの労力をかけやすくなります。例えば、3年で文系に転向するよりも1年で文系に決める方が、数学3や物理を勉強する分を他の科目に回せるわけです。どちらがより良い結果、自分が満足いく結果を出しやすくなるかは明らかでしょう。

 「何かを諦めることは他の夢に近づくこと」という私の言葉を是非とも心にとめていただきたいものです(まあ、何でもかんでも諦めることを助長しかねないという弊害があるけどね。)

 

 

2.とにかく基本的事項を何回も見直し考え直すこと

・何度もやらないと身につかない

 世の中には「1回やったことを二度と聞くな」とか言う人もいますが、1回言われただけで何でもかんでもできるようになる天才などまずいません。

 むしろ何度やってもできないことが多いですし、ちょっと何回かやっただけでできるのであれば、世の中みんな英語がペラペラではないでしょうか。それにすぐベテランと同じような仕事ができるようになるため、多くの仕事では熟練の経験など必要なくなるでしょう。

 

 スポーツでは顕著ですが、1回や2回素振りしたりキャッチボールをしただけで上手く打てたり守れたりするわけがありません。勉強でもちょっと公式を見たから、ちょっと単語を覚えたからというだけで数学や英語ができるわけがないでしょう。

 野球だと毎日のようにバットを振り、動く球を打つ練習をし、ノックをひたすら受け、実践経験を磨かないと良い選手にはなれないでしょう。受験でも、当然何度も問題を読み、何度もテキストや参考書を見直さないと有名な学校にはなかなか行けないのです。

 とにかく何度もやらなければ、迅速かつ正確にできるようにはならないわけです。

 

・やらないと忘れていく

 それに人は時間が経てばすぐ物事を忘れますし、何度やったことでもあやふやになってきます。何回も見直し考え直さないとせっかく得た知識や理解も使えないものになってしまいます。

 そうならないためにも、とにかく復習回数を増やすことが大事なのです。

 

 私は中学時代に京大出身の塾講師から「復習したっていうけど、どれだけのことをしたの?問題解きなおしたりした?それぐらいしないと忘れて当然やで」と言われたことがありますが、記憶力が普通の人より優れているだろう京大生ですらしっかり復習しないと大事なことをどんどん忘れていくわけです。

 ましてや記憶力がガバガバなことの多いそこらへんの人であればもっと多くの数、量、頻度の復習が必要でしょう。

 

 それに浪人生が思ったより成績が上がらないのは、時間がたつごとに忘れていくことも増えるため、実力を現状維持するのも一苦労だからです。とにかくことあるたびに少しでも復習をすべきであり、復習回数を増やすことが大事なのです。

 

 

3.難しいことは7回と言わずとにかく復習するべき

 取り組むことの難易度が上がれば上がるほど、何度やってもどうも理解できない、上手くできないということが起こりがちです。

 勿論、詳しそうな人に聞いてみる、考え方を変えてみる、周辺分野を学んでみる、息抜きをする、諦めることも考えてみるといったことなども大事ですが、何度もやっていくうちにいつの間にか理解度が深まってできるようになっていたり、突然「そういうことだったのか!」とブレイクスルーが来ることもあります。

 

 特に数学なんて、「なんかよくわからないまま問題演習を重ねていたけど、いっぱい問題を解いていくうちにいつの間にかわかるようになっていた!」なんて経験をした人がほとんどだと思います。あらゆる分野を1回や2回で完璧に理解した人なんてほんの少数で、何度も考え挑戦し続けたからこそできるようになった箇所がいくつもあるのが大多数ではないでしょうか。

(数学に関しては、高校レベルであってもそもそも挑戦すらしない、挑戦回数があまりに少なく基礎部分すらわからないまま終わる人の方が大多数な気がしてならないが。)

 

 7回という数字にとらわれず、わからないところは何度でも見直し、考え直し、問題を解きなおしていくのが良いと思います。 

 東大主席ですら7回では到底足りない箇所がいくつもあるわけです。ましてやそこまでの記憶力や集中力のない一般人は「10回でも20回でもわからないところはとことんやってやる」ぐらいの気持ちが大事でしょう。

 

 

 「ある分野で成功を収めた人の話を鵜呑みにしてはいけない」、「とんでもない結果を残した(おそらくとんでもなく素質のある)人の言うことを安易に自分もできると思ってはいけない」というのはまさしくそうですし、普段私のブログではそういうことをよく言っています。

 

 しかし、そうはいってもなんだかんだで、ある成功を収めた頭の良い人は、当然良いこともある程度言っていますので、そのことについては大いに参考にするべきだと思います。当たり前と言えば当たり前のことだからこそ私のブログではあまり言わないだけで、勿論重視していないわけがありません。