語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

司法試験に落ちたらどうしたらいいのか考えてみた

 今年度の司法試験の結果発表までいよいよ残り2週間ほどとなりました。

 いくら弁護士の平均年収がガタ落ちしているとはいえ、合格すれば人生が何とかなる可能性は高いわけですが、司法試験ほどの難易度ともなると当然不合格になること・落ち続けることも覚悟しなければいけません。

 

 そこで、司法試験に落ちたらどうすればいいのか、落ち続けたらどうしたらいいのかについて個人的に思うことを書きたいと思います。前にも似たようなことを書いた気もしますが。

 

 

1.なおも司法試験を受け続ける

 やはり一度乗った船ですし、20代後半や30歳付近になって新しい業種に移ることは難しいので、なおも司法試験を受け続けるという選択肢がまず考えられるでしょう。平均年収がガタ落ちし就職難も進んでいるといえども、今でも法曹は高いステータスでしょうし、業務内容や独立性は極めて魅力的です。

 合格するという前提ではありますが、なおも司法試験を受けるのであれば今までの勉強の大部分が無駄にならずに済みますし、未練を残しながら一生を過ごすこともなくなるので、人生崩壊覚悟で受け続けるのも一つの選択肢だと思います。

 特に今では予備試験もありますし、一度受験資格を失ってもまた司法試験を受けられるようになるチャンスはあります。ましてや受験資格が残っている人は予備試験も受ける必要がないのです。

 

 しかし、司法試験は回数を重ねれば重ねるほど精神的な疲労や負担が重なりますし、個々人の記憶力の高さや正確さ、情報処理能力の高さといった素質やセンスも大きくかかわってくる試験です。

 実際、受験回数が増えれば増えるほど合格率が減っていますし、3回4回受けてもダメだった人が次の年に合格するのは至難の業だと思います。なにせ勉強に飽きますし、精神や集中力がなかなかもたないでしょう。司法試験に人生を賭けているだろう人たちばかりなのに5人に1人も受かっていないという事実も直視しないといけません。

 

 まだ1回しか受けていない人や、割と惜しい順位で不合格になった人ならこの選択肢も安易にお勧めできますが、回数を重ねても惜しくない順位で不合格になった人は残念ながら他の道を探るのが現実的だと思います。

 

 

2.公務員に転身する

 司法試験を断念した人に特に多いのが公務員への転身。私の大学の先輩でも撤退者の3分の1以上は公務員になりました。

 収入は弁護士に及びませんし、今後も国や地方自治体の財政難を理由に公務員の給与は下がるおそれが強いわけですが、それでも安定性や社会的ステータスは高いですし(さっきから下種な視点ばかりだな)、凄くやりがいのある職務も中にはあるので、現代社会では魅力的な就職先です。

 

 まじめに司法試験の勉強をしてきた人ならば、専門試験は余裕でしょうし、行政法の短答を少し勉強すればよい程度だと思います。経済は捨てよう。

 教養はさすがに忘れているところが多いと思いますが、有名大学出身者なら数的処理や判断処理はちょっと勉強するだけでできますし、なんだかんだ言っても国家総合職以外ではペーパーテストは余裕なはずです。

 

 いくつか併願が可能ですし、試験があるのはだいたい司法試験終了後なので(前にあるのは国家公務員総合職や参議院事務局総合職ぐらい)、受けやすさも魅力的です。

 日本では平然と年齢差別が行われますし、私自身も「こんな社会人としてあり得ない人間が公務員をやっているのか」と思うぐらいふざけた態度を面接官にとられたこともあるので、学部生に比べて高齢となる司法試験受験生は不利となりがちですが、コミュニケーション力に自信がある方が面接での倍率がそこまで高くないところを受ければ何とかなる可能性は高いと思います。

 

 一度就職してしまうと司法試験に合格するどころか満足に受験することすらできなくなるおそれがあること、仕事にやりがいがないかもしれまいことが問題点ではありますが、司法試験を断念した場合の進路先としては満足いくほうだと思います。

 

 合格可能性が比較的高いと思われるのは、国家一般職と国税専門官と労働基準監督官。国家一般職での狙いどころは高齢に優しいと言われる労働局辺りでしょう。

 特に女性だと、管理職3割目標もあり倍率が低くなっているためお勧めです。

 裁判所事務官は女性なら強くお勧めできますが、男性は期待しない方が良いと思います(詳しくは下の記事参照)。

yamifuka.hatenablog.com

 

 地方公務員については、とにかく試験科目に専門科目があるところを選ぶとよいでしょう。コミュ力があり若く容姿に問題がないような人でも1次試験で大量に落ちてくれます。

 有名大学出身者にとっては落ちる意味が分からない簡単なレベルの1次試験でも、世の中には落ちる人が大量にいますし、面接までにライバルが大幅に減るのはありがたいことです。

 

 

3.民間企業に就職

 新卒至上主義があり、文系院卒者が就活で不利になりがちな日本では、ローをすでに出てしまったような人の民間企業への就職は困難を極めます。

 しかし、コネがある場合はそんなの関係ねーという話ですし、枠こそ少ないもののロー卒者向けの枠が大手企業にもあるのでそこを狙うというのも考えられます。

 それに大手ではなくても、優良企業がないわけではないですし、たまたまそこの会社の人がロースクール出の人を高く評価することもあります。

 

 また、使用者の理解次第では、就職しながらさらに来年度以降の試験を受験しやすくなりますし、希望を捨ててはならないのかもしれません。

 なお、私はというと見事ブラック企業に入り、結局試験のために思い切って辞めました。1ミリたりとも後悔はありませんけどね。HAHAHA。

 

 

4.家業を継ぐ

 勿論家業がある人だけにはなりますが、両親も喜ぶ可能性が高いでしょうし、家業を継いで何とか生きていくというのも選択肢として挙げられるでしょう。

 私の周りにも「男は海に出てなんぼや。漁師になるわ」という人がいましたが、今生きているのだろうか…

 

 

5.司法書士行政書士、不動産業を目指す

 司法書士試験を合格して、司法書士として働くケースも撤退者には少なくないようです。

 とはいえ、司法書士試験も司法試験に比べればマシなだけで、難関であることに変わりはないですし、簡単な道ではありません。最終的に合格する人でも転向後1年では受からない人が多いようですし、さらに何年か勉強することになるおそれは強いです。

 それに合格したとしても、さらに事務所で安い給料で働いて、そこからも客を呼ぶために苦労することになるのでハードルは低くありません。

 

 行政書士司法書士に比べると合格は容易ですし、私ですら合格しているので、真面目に司法試験の学習に取り組んできた方ならすぐ合格できるでしょう。すでに合格した人も多いと思います。私の先輩でも思うように稼げているかはわかりませんが、行政書士に転身した人が何人かいます。

 しかし、こちらは合格しても求人が非常に少ないですし、思うように稼げない人が商書士に比べてもさらに多いため、行政書士一本で生活していくのは困難と思ったほうがよいでしょう。

 私も一時期ハローワークで求人を探しましたが、有資格者、経験者の求人でも白目を剥くような条件のところが少なくないです。「これなら高校生のバイトの方がええやん」と言いたくなるところもありふれています。

 

 不動産業については詳しくないので割愛。宅建コスパ最強の資格と言われることも多いですが、実際はどうなんでしょう?

 

 

6.主婦になる

 女性限定ですし相手があってのことですので大きな声では言えませんが、現在では勝ち組の選択肢でしょう。

 弁護士になってからも多忙のあまり廃業して専業主婦になる人もいるようですし、子どもと向き合う時間、教育する時間を増やせますので、個人的には極めて魅力的な選択肢だと思います。私はできないけどな。

 

 

 司法試験に2回落ちた人が考えてみましたが、先輩たちの動向をみるとだいたいこんな感じだと思います。

 惜しい順位で落ちたのであれば次こそ絶対合格するよう頑張るのがいいと思いますが、諦めるとすれば公務員がやはり無難でしょう。

 まあ、死んだ目をしてやりたくもない仕事をするのもどうかと思うので、やりたいようにやるのが一番ですけどね。

 

 「今年は落ちるとして、来年はさすがに受かる気がする!」とかふざけたことを言っている私ですが、さすがに今年も落ちたら内々定をもらっているところに行き、公務員として骨を埋めると思います。

 当初の予定とは違いますがやれることは魅力的ですし、一番評価されるところで頑張るのがたぶんいいでしょう(FA選手理論)。拾われた分際で収入に不満を漏らしてはならない。このご時世ですし、まともな職に就けるだけ感謝ですよ。