語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

公務員試験の面接を平日に行うのはどうなんだろうか

 気温が平然と35度まで行き、冷房のかかった部屋でのんびりゲームでもしたい今日この頃。

 ですが、公務員受験生にとって本格的に面接のため東奔西走する時期になりました。受験生としては、のんびりゲームなどしてられません。

 特に国家一般職の場合、業務説明会という名の実質的な選考が始まりますし、この暑い中、文字通りの東奔西走をしなければなりません(今では就活が6月解禁になったので、民間企業でもそういう人が増えているでしょうが…)。


 受験生のヘイトも溜まり始めてくるちょうといい時期ですし、今回はその公務員試験関連の話をしようと思います。

 前の記事にも似た優秀な人材の囲い込みに関する話です。

 


・面接の日程について
 国家公務員試験も地方公務員試験も一次試験である筆記テストについては、受験者が絞られていないこと、外部の会場を利用することなどから、ほとんどの場合日曜日に実施されている。※1

 

 しかし、面接試験ともなると一人当たりでそれなりに時間をとらないといけなくなるし、一斉に実施することは困難なので、一次試験と同じように日曜日に1回やるだけとはいかない。

 そのため、何日かに分けて面接試験は実施されるが、数日間も外部会場を借りるのは難しいし、土日にはそもそも役所などを開けていないことも多いということで、面接試験は平日に実施されることが多い。

 勿論、西宮市のように面接試験日の3日中2日が土日という社会人に優しいところもあるが、公務員になろうと思えば平日を開けておく必要がある場合が多い。

 


・社会人に平日試験はキツイ
 しかし、今の日本社会では、フルタイムで働いている人が平日に休みを入れることはそう簡単ではないだろう。
 休暇が取れるような余裕のある会社ばかりではないし、休暇が取れる環境にある会社でも、連休でもなんでもない特定の日を指定して休みを取りたいというのは厳しくないだろうか。

 

 司法試験の話になってしまうが、実際私の周りでも、司法試験(水曜日、木曜日、土曜日、日曜日に実施される)で休みをとれるか心配だという話をする人が多かったし、司法試験を受けるために仕事を休むことができないから市役所の内定を蹴ったという人もいる。

 同様の問題は当然公務員試験でも起きているだろう。

 

 しかも、面接の正確な日程が決まり通知が来るのは、面接日のほんの数週間前だったりするので、「突然○○日に休みを入れたい」と言わないといけない羽目になることも多い。だいたいの日本人は自分だけ休むことを申し訳なく思うものであるし、そもそも休みたいと言い出すことすら憚れてしまう。

 

 そんなわけで、公務員試験を受ける人には学生とフリーターが多く、社会人は受けたくてもすごく受けにくい状況となっているのが現状である。

(そもそも勉強時間が足りないからという問題もありますけどね。)

 


・現社会人こそバリバリ活躍してくれるし、採用するメリットがあるのでは?
 こういう現状が存在するわけだが(国家公務員はだいたいこの状況)、この状況のせいで、国や地方自治体はより良い人材を公務員として採用できる機会を失っていないだろうか。

 

 というのも、社会人の中には、民間企業に入った後公務員の良さに気づき、強い意識と高い志をもって公務員として活躍したいと考えるに至った人もいるし、数年とはいえ民間企業等で経験を積みそこで高い実力をつけた人も当然いるはずである。 

 何も「会社に嫌気がさして楽な公務員になりたい」と思っている人だけではなく、「今の会社より公務員の方が自分は輝けるし、社会にも利益を与えられる」と思って公務員への転職を真剣に考える優秀な人も、当然そこそこの数いるだろう。

 

 新卒の人と比べると年齢は少し上になってしまうだろうが、「会社を辞めてでも公務員として活躍したい」との強い熱意があったり、経験があって高い実力があったりする人たちこそ公務員として良い仕事をする気がするし、そういう人たちが増えればサービスの質が向上し、市民の利便となる可能性が高いのではないだろうか。
 そういう人こそ公務員にふさわしいのではないだろうか。

 

 また、民間企業等で勤務している経験があれば、比較の観点を強く持てるので、「今の職場は昔に比べてはるかに良い。なんか自然と頑張ってしまうわ」となったり、「今の職場はこういう決まりや雰囲気がよくないし、ちょっと相談して変えられへんかな」となったりする可能性もある(まあ、昔の方が良かったとやる気がなくなることもあるから、ポジティブすぎる見方だと思うけどね)

 それに色んな職務経験をした人が混在している方が、多様な意見・発想・カイゼンも生まれやすいかもしれない。

 

 採用サイドとしても、民間企業でマナーなどの研修を受けていて、働くとはどういうものなのかを理解している社会人については教育コストが少なく済むだろうし、即戦力になってくれる可能性も十分にある。
 こういうことを考え出したら、優秀な社会人を引き込むことのプラスは結構大きくないだろうか。

 

 

・国も地方も優秀な人材を積極的に奪い取るべきでは?
 土日に面接を行うことで、受験層を広げ受験者を増やせば、それだけその組織にとってより良い人材を確保できる可能性は高まるだろう。候補者が多くなれば、基本的には優れた人も増えるはずである。

 

 短期的に見ると、電気代などのコストは上がるだろうが、優秀な人材を民間企業等から引っ張ってこれることを考えれば、長期的には利益の方が大きいのではないだろうか。1.2倍ぐらいの仕事っぷりをしてくれるような優秀な人を奪い取れれば、冷房コストぐらい一瞬で帳消しになるのではないかと思う。

 

 採用担当者としても、どうせならバリバリ働いてくれる優秀な人が欲しいのが大半でだろうし、一般市民としてはもっと社会人から優秀な人材を引き抜けるよう是非とも土日に面接日を設定できるようにしてもらいたいものである。

 

 一応、一部の市役所などでは既に土日を利用してなんとか社会人を取り込もうとする動きがみられるし、社会人経験者採用という制度まであるが、他の自治体や国家公務員試験でもそういう動きはないものか。
 

 

 

 しかし冷静に考えたら、簡単に休みを取れない・休みを取りたいと言い出すことすら難しいという日本の労働環境がこんなことになっている元凶ですよね。

 社会人でも自由に試験受けて転職できるようにしてくれよという話です。

 

 

※1:例えば今年の場合、一次試験の日にちは、国家総合職(旧国1)が5月22日(日)、国税専門官が5月29日(日)、裁判所事務官が6月5日(日)、国家一般職(旧国2)が6月12日(日)、神戸市が6月26日(日)、西宮市が7月24日(日)となっている。