語られない闇を語る

司法試験、大学受験、労働問題、社会問題などを中心に、あまり語られていない・語りつくされていない闇について語っていこうと思います。苦難と失敗から得た知見を曝け出していく予定です。

新作を書けなくなるのはなぜか クオリティーに満足できない病

 いつまでたっても新作を出さない小説家や、事あるたびに休載する漫画家、いつの間にか活動を休止している動画投稿者、記事の投稿がすぐ止まるブロガーなど世の中にはクリエイティブな活動がすぐに滞ってしまう人が少なくありません(最後については耳の痛い話だ)。

 人気絶頂の中、相次ぐ延期を繰り返し結局4年後になるまで新刊を出さなかった人気ライトノベル作家や、年間休載率100%を記録した大御所漫画家など私がぱっと思いつくだけでもかなりの数そういう人がいますが、この手の物書きの人は何故作品が滞りがちになるのでしょうか。

 

 よく言われる理由は、サボりやスランプ、不評となる恐怖、お金を稼いで満足したなどですが、そのような理由だけで作品を出せなくなったのでしょうか。

 個人的には、色んな理由がある中でも、特にクオリティーに満足できない病的な考えが大きく影響していると思うのでその話をしたいと思います。

 

 

 ○いいものを作れる人は細部まで見えすぎてしまう

 新作が滞りがちになる人の作品を見ると、漫画でも小説でもそうですが、細かいところまで気が配られていて、細部まで練られている傾向が強いです。「このキャラがこんな場面でこんなこと言わないだろ」みたいなことはまずないですし、「よくここまで考えたなあ」と楽しめたり感心させられたりすることが多いです。

 アマチュアばかりの動画投稿者でもそういう傾向があり、投稿間隔が広くなる人ほど、いろんな画像や音源を取り入れて編集に凝っているものです。

 

 新作が滞りがちになる人というのは、作品をバンバン出す人よりも、細かいところまで神経がいき通っており、詳細部分まで問題点や改善点を見つけられるからこそ、「ここはこういう表現・言い回しの方がいいんじゃないか」、「ここはこういう展開にしたほうがわかりやすいんじゃないか」といった無数のアイデアに対処する必要性に迫られるため、一つの作品を作るのに考える時間が増え、思考錯誤・トライアンドエラーの数が増えるのです。

 

 要するに、細かいところまで見えて、気になって、じっくり力を入れすぎてしまい、その結果どうしても満足いくものが出来上がるのに時間がかかるのが原因なのです。

 

 

○時間と労力をかければ良いものを作り上げられてしまう人である

 いくら細かいところが気になっても、妥協してしまう習性をもっていれば深くは悩みません。

 それに、完成度を上げきる能力がない人であれば、作品が評価されることもあまりなく、評価をもらう前に心が折れることが多いでしょう。

 

 しかし、時間と労力さえかければよいものを作れる人は、思い通りに作れれば高い評価を受けられることが多いですし、自分自身が満足できるため、とにかく時間や労力をかけてでも作品の完成度を上げたくなってしまうのです。中途半端なものでは高い評価を受け続けられませんし、何より自分自身が許せません。そんなものを出すぐらいならいっそ世に出さないという話です。

 なまじ力があるからこそ、時間と労力次第でよいものが作れてしまい、自分の満足いくものを作れるまで粘ってしまうのです。

 

 

○それでも満足いくクオリティーまで仕上げきるのは並大抵のことではない

  いくら時間と労力さえあれば良いものを作れる人でも、時間は限られていますし、いつでも体が万全の状態とはいきません。

  考慮要素が非常に多く、見つけすぎてしまった問題点・改善点の対処に頭を悩ませ、何度もこれでいいのかと検討すると時間の余裕はまるでなくなります。専業でやってない人やお金儲けをしているわけではない人がひっそりいなくなるのも無理もないです。お金を稼いでいるわけでもないのに、こんなに疲れることをやってられるかとなりますからね。

 

 それに、常に頭がフル回転で体調が良いわけでもないですし、普段は書ける人でも、書けないときはまるで書けません。

  満足いくクオリティーに仕上げようと思ったら、無数のアイデアをまとめあげ形にしないといけないわけで、いくら優秀な人でも脳や体にかかる負担は大きく、いつでもできることではありません

 普段から無理して満足いくクオリティーのものを作っているわけですから、無理ができないとなるとなかなか作品は完成させられないのです。

 

 

○そして疲れ果てていく

 個人的には、文豪と呼ばれた人がよく自殺するのもただの健康問題やアイデアが浮かばなくなったとかではなく、満足いくものにするまでまとめあげるのにあまりにも労力とストレスがかかり、過労状態になっているというのが大きな原因ではないかと思っていますが、自殺まではしなくても、あまりの作業量の多さに苦しめられながら「なぜこんなにもうまく書けないのか」と自分の力のなさを嫌でも思い知らされる経験を何十何百と繰り返せば誰でも精神が疲れ果てるものです。

 

 ブログとか動画程度のことしかしていない私ですらそういう節はありますし、小説を書いてみようと思ったときにはまさにそういう悩みに襲われたので、クオリティーに満足できない→心身の疲弊こそが多くの人が書けなくなる大きな原因ではないでしょうか。

 ただネタが思い浮かばない、評判が怖いとかの理由もあるのでしょうが、満足いくクオリティーにするために、あまりにも多くの思考を行って心身を疲弊させているというのが真相だと個人的には思っています。冨樫先生もただのサボリじゃないんですよ。たぶん。